高圧受電設備の停電手順

管理人は高圧受電を行っている施設の主任技術者経験があります。停電工事を始めてやるときに明確な対処方法が見つからなかったので、得た知識を公開します。

1.停電計画

施設内で停電前に措置が必要なものの確認

・非常用自家発電設備

①施設内に非常用自家発電装置があり、その回路が停電範囲内に入る場合は、対処なしでそのまま停電させると発電機が自動起動する。これでは停電すべき回路に電圧がかかってしまうので、自動起動させない方法を確認しておく。

→通常は非常用発電機を自動から試験モードに変更すればよい。

→制御電源と蓄電池電源のケーブルを外せば間違いない。ただ、実態としては試験モードにするだけの場合がほとんどである。

・太陽光発電設備

→発電した電力の送り出しブレーカを切にする。

2.持ち物(停電に必要なもののみ)

・絶縁抵抗計

・放電棒

・高圧検電器(通常7,000Vまでなので、10,350Vの耐圧試験時は使用できない)

・接地線(3相それぞれをワニクリップでつけられるもの)

・検相器(3相3線を破線する作業がある場合)

・脚立(高い位置に操作部があるときに)

・操作禁止札(PAS用)

・操作禁止札(VCB用)

・ゴム手

・ゴム長(あれば)

・作業用照明

・作業用照明のバッテリー(必要であれば)

・照度計(当日照度を測るのであれば)

・養生テープ(操作しないブレーカに付ける場合)

・耐圧試験器(絶縁耐力試験を行う場合)

・リレー試験器(OCRを交換した場合)

・リアクトル(長い電線路に耐圧試験を行う場合)

3.停電前準備

①低圧ブレーカの切になっているものは、誤って投入しないように操作レバーの上部に養生テープを貼っておく。

②非常用発電機が停電時に起動しないように、「自動」から「試験」にモード変更を行う。

 →基本的にはボタン長押しかタンブラスイッチを試験側にすることで対応可。

③太陽光発電設備がある場合は送り出しのブレーカを切にしておく。

③警備会社及びエレベータ会社に停電する旨を連絡する

④検相器により正、逆相確認

→変圧器上部の2次側がやりやすいのでは。

4.停電作業

①施設に停電する旨を周知

②投入されていた低圧ブレーカすべてを切にする

③VCBを切にする。VCBに操作禁止札取付。

④PASを切にする。詳細は下記。

 PAS操作

①GRスイッチを左側に倒すことでPASを切る。

②GRスイッチで停電した後はGRの動作表示が出る。

③表示の復帰は動作表示下の「復帰ボタン」を押せばよい。(復電完了までに復帰すればよい)

④SOG制御装置の蓋を閉め、鍵をかける

⑤「操作禁止の札」をSOG制御装置の箱の取っ手に結びつける

・復帰ボタンを押すと、電源下のIo、Voランプが一瞬赤く光る。これは自己診断を行ったという意味。

⑥検電器によりDS一次側を検電

⑦ディスコン棒でDSを開放

⑧VCB二次側絶縁抵抗測定

→コンデンサやリアクトルが接続されたまま5,000Vまでメガーをかけても問題ない。

→キュービクルでVCB二次側のアクセス性がよくない場合、低圧盤LBS二次側(変圧器一次側)からメガーをかけることもある。

⑧放電棒でDS一次側、DS二次側、VCB二次側を放電

⑨DS一次側に接地線取付

以上で停電操作完了

■補足

通電している状態で回路を切る(電流の生切り)は機器に負荷がかかるとのことなので、古いVCBで電流を切るのは避けた方がよい。その場合、順番を入れ替えてPASで電流を切る。

5.復電前準備

絶縁抵抗測定

①VCB二次側で絶縁抵抗測定を行う。

高圧は5,000Vメガーをかける。高圧系統では、1,000Vメガーでは問題ない抵抗値が測定され、5,000Vメガーで抵抗値が急落することがある。

5,000Vメガーをかけたときの実測値0.55GΩ、0.9GΩ

 →この値は低めである。PASの柱から20m以内程度であれば、5~10GΩ程度出る。

→電路が100m以上となると、絶縁抵抗計からの充電に時間を要す。また、絶縁抵抗計に測定後の放電機能があるが、電路が長く充電量が多いとそれだけでは放電しきれず、その後接地線を付けるとパチッと火花が見える。火花は静電気の放電の少し強めのレベルであった。絶縁抵抗計での放電は10秒程度行っており、それほど短いわけではなかった。

→1相だけ電圧をかければ、変圧器を介して他の相にも電圧が回る。

耐圧試験(使用電圧6.6kV:VCB2次側)(高圧で機器取替を行い、設備が古くない場合)

①耐圧試験器の接地線を複数個所に取り付ける

 →接地が浮くと試験器に電圧がかかってしまい危険なため

②1,000Vメガー(2,000MΩ以上)

→1,000Vメガーは忘れ物の短絡確認程度。

③静電容量の測定

④VCB切確認

⑤10,350Vの半分(5,175V)まで昇圧して異常の有無を確認

⑥10,350Vまで昇圧させる。(ここから10分間耐圧する)

⑦1分、3分、5分、9分の値を記録する。

⑧10分経過後降圧

→高圧で耐圧試験中にジリジリ音がする場合は、締結しているガイシが緩い場合が多い。

耐圧試験後で復電前

・断路器投入後、VCB一次側の状態確認のため1次側に1,000Vメガーをかけた事例あり。

6.復電

・PAS操作前準備

①変電室内に忘れ物が無いかどうか確認する

②PCSが確実に差さっているか確認する

→刺さりが甘くて異常が発生した事例あり

③VCBが切になっているか確認する

→OCR試験等をすると、VCBのレバーの向きと入切状態が異なることがあるので、必ずVCBの入切表示を確認。

④DS一次側に取り付けた接地線を取り外す

⑤ディスコン棒でDSを投入する

・PAS操作

①操作禁止札を取り外す

②SOG制御装置のGR動作表示を出したままであれば、復帰ボタンで復帰させる

③PAS操作用ロープの切(緑)を引き、完全に切の状態にする

 →GRで停電させた場合、復電するには一度操作用ロープで切にしないと入にならない

④PAS操作用ロープの入(赤)を引き、入の状態にする。

→PAS側面に入切表示があるので、入になっているか確認する。

・変電室内操作

①VCB操作禁止札を取外し、投入する

②高圧受電盤、配電盤の電圧表示値を確認する。

 →表面の回転スイッチを操作して表示切替を行い、全相での受電ができているか確認する。

②低圧ブレーカを投入する

③検相する

④非常用発電機を試験モードから自動モードに変更する

復電完了

→異常がないかどうか確認する。

【免責事項】

なお、上記は参考であり、停電及び復電を行う場合は必ず当該施設の電気主任技術者に操作内容の確認をとって下さい。当方では記事内容を実行したことで被った損害、被害の責を負えません。